出っ歯になる理由
小児期に出っ歯になる理由
1. 遺伝的な要因
小児の出っ歯の主な原因の一つは遺伝です。親や祖父母が出っ歯である場合、子どもにも遺伝する可能性があります。これは主に歯や顎の大きさ、形状、成長パターンなど、口腔全体の構造に関わるものです。
また、日本人は欧米人と比較して顎が小さい傾向があります。そのため、歯のサイズに対して顎が小さいと、歯が並ぶスペースが足りず出っ歯になることがあります。
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矯正歯科の観点から見ると、出っ歯(医学的には「上顎前突」と呼ばれます)は小児期と成人期で原因も治療方法も異なります。この記事では、それぞれの年齢における出っ歯の原因と、最適な治療方針について解説します。
小児の出っ歯の主な原因の一つは遺伝です。親や祖父母が出っ歯である場合、子どもにも遺伝する可能性があります。これは主に歯や顎の大きさ、形状、成長パターンなど、口腔全体の構造に関わるものです。
また、日本人は欧米人と比較して顎が小さい傾向があります。そのため、歯のサイズに対して顎が小さいと、歯が並ぶスペースが足りず出っ歯になることがあります。
指しゃぶりは前歯を前方に押し出す力が働き、出っ歯の原因となります。特に4歳を超えて続けると、吸引力が増してリスクが高まります。
舌で前歯を押す、食べ物を飲み込む際に舌を前に出す「舌癖(ぜつへき)」も、前歯に力が加わるため出っ歯を引き起こす可能性があります。
口呼吸をすると、舌の位置が下がり、頬の圧力で上顎の歯列が狭くなって出っ歯のリスクが高まります。お子さんのお口が常に開いている場合は注意が必要です。
歯周病により歯を支える骨が弱くなると、噛み合わせの負担に耐えられず、歯が前に押し出されることがあります。さらに、歯ぎしり・食いしばりを併発すると、出っ歯になるリスクが高まります。
抜けた歯を放置していたり、虫歯治療を中断したりすると、咀嚼時の負担がうまく分散されずに出っ歯になる可能性があります。
小児期は顎の成長を利用できる大切な時期です。早期に治療を開始することで、顎の成長に合わせて矯正を進行させることが可能であり、治療全体の時間を短縮できる可能性があります。
永久歯が生え始める時期に行うこの治療では、顎の骨の成長をコントロールして出っ歯を改善します。使用する装置には以下のようなものがあります。
マウスピース型矯正装置は、出っ歯を引き起こすとされる指しゃぶりや口呼吸、舌の癖の改善もできるメリットがあります。
永久歯が生え揃う時期から開始するこの治療では、歯を1本ずつ動かして歯並びとかみ合わせを整えることを目的としています。主にワイヤー矯正を用います。
小児矯正の治療期間は、I期治療では通常1~2年程度必要です。
成人は顎の成長が完了しているため、小児期とは異なるアプローチが必要になります。
成人の出っ歯が歯の移動だけで治療可能な場合は、以下の方法が用いられます。
下顎が後ろの位置にあるなど骨格的な問題が原因の場合、上顎の小臼歯を左右対称に1本ずつ抜歯し、そのスペースを使って前歯を後ろに下げる治療を行います。
出っ歯が歯の移動だけでは治療困難な場合、顎変形症として保険適用可能な外科手術と矯正の併用治療を行うことがあります。上顎分節骨切り術では、上顎の左右第1小臼歯を抜歯し、そのスペースを利用して前歯を後退させます。
抜歯以外の方法で歯が綺麗に並ぶ空間を作ることができれば、非抜歯矯正も可能です。以下の方法があります。
ただし、歯に対して顎が小さい場合や前歯が大きく前に突出する症例、噛み合わせが大きくずれている場合、口元が突出している場合は、非抜歯矯正が難しいこともあります。
成人の矯正治療期間は、一般的に1~3年程度かかることが多いです。
出っ歯の原因は年齢によって異なり、小児期では主に遺伝や指しゃぶりなどの習慣が原因となることが多いのに対し、成人期では口内環境の変化や噛み合わせの悪化が原因となることがあります。
治療方針も大きく異なり、小児期は顎の成長を利用した治療が可能なため早期介入が効果的です。一方、成人期は顎の成長が完了しているため、より複雑な矯正治療や場合によっては外科的治療が必要になることがあります。
当院では、出っ歯の原因を正しく把握し、原因に合った治療方針を提供できるよう努めてまいります。早めの相談と、最適な治療法を見つけることが大切です。