子供に対してもマウスピース矯正は有効な手段の一つです。
最近ではインビザラインファーストなど子供の矯正に特化したシステムも登場し、積極的に子供の矯正にもマウスピース矯正が応用されております。
子供にとってマウスピース矯正を行うことは多くのメリットがある一方デメリットもあります。
まず一番のメリットですが、なんといっても清掃性が良く、虫歯ができにくいことです。ワイヤーの装置に比べ取り外しができますので、汚れがたまりにくく虫歯を作りにくいです。
次に痛みが少ない点です。マウスピースの交換頻度は1週間毎なので、ワイヤーのように一カ月分の力を一気にかけるのではなく、1週間毎4回に分けて力をかけることになります。その結果1マウスピース当たりの力はワイヤーの1/4となり、かかる力が小さい為、痛みを感じにくいと言われております。
他にも自身でマウスピースの装着時間を管理する必要がありますので、矯正後の保定装置(リテーナー)の装着に関しても頑張ってくれる場合が多く、綺麗な歯並びを維持しやすい点もメリットと言えます。
いつからいつまでは子供なのか?
小児矯正の期間は実は結構幅があります。一般的に大人の歯がはえ始めるのは6歳前後、最後の第二大臼歯(7番目の歯)がはえるのが12歳前後となります。6歳を過ぎた辺りでは、奥歯1本、前歯4本程度がはえている状況となります。この段階で前歯の並びが気になる場合や顎にズレが生じている場合は治療対象になります。その後、小児矯正では一番大切な第二成長期を迎えます。この時期(10~12歳ですが個人差が大きいです)は身長が伸びるのと同時に顎が著しく成長します。今まで、凸凹が多かったお子さんもこの顎の成長と共に、スペースが生じ、歯並びを良くしやすい時期になります。この成長期を上手くりようする事で永久歯の並ぶスペースを確保し、抜歯をせずに歯を並べきる事が可能になります。この成長期を利用できるということが小児矯正の一番のメリットと言えます。
Ⅰ期治療前
かみ合わせが深く、上顎が下顎にかぶさっている状態です。このままだと下顎の成長が邪魔され、歯の並ぶスペースがなくなってしまいます。また、乳歯が抜けた後に永久歯が生えてくる高さも不足しているのが分かります。
Ⅰ期治療中
かみ合わせの深さが改善され、奥歯の永久歯が生える高さも十分に確保されました。
Ⅱ期インビザ開始時
すべての永久歯が生えてきましたが、予想以上に永久歯が大きく並ぶスペースが少し不足しています。(左下5番目の歯)ここからはⅡ期治療を開始し1本1本の歯を細かく移動させていきます。
終了時
歯を抜くことなくスペースを確保し永久歯を綺麗に並べ終りました。ここからは10代の歯の動きやすい時期に歯並びが再度崩れないよう保定装置を寝る時だけ装着し、歯並びを安定させていきます。
最後に、当院では上記のようなメリットを最大限利用できるタイミングを見定め、お子さんが矯正装置を装着している期間を可能な限り短くできる治療方針を提案することを最優先しております。矯正器具を装着している期間は、虫歯のリスク、本人の負担を考慮し(受験や日常生活、旅行やレジャーの際にも気を遣わないといけなくなり生活介入度が高い為)可能な限り短い方が良いと考えます。とりあえず装置を入れておこうといった治療スタンスを取ることはありません。その代わりベストなタイミングで効率の良い治療計画を提案させて頂きます。せっかく相談に来院頂いたのに、お口の中を診せて頂いた上で「1年後にまた来てください」とお伝えする事もあります。これはすべて上記のような理由からなのです。