マウスピース矯正とは?
ワイヤーを使わずに少しずつ形の違うマウスピースを複数枚作製し歯を動かしていく矯正治療です。当院で使用しているインビザラインもマウスピース矯正の中の一つになります。
では、どのマウスピース矯正が良いのでしょうか。沢山の商品があり、患者さんも悩んでしまうことでしょう。当院、院長は15年前からマウスピース矯正を診療に取り入れており、さまざまな商品と関わってきました。その中で、現在一番、治療後の質が安定してるのがインビザラインになります。
当院ではインビザラインの特徴を最大限生かした治療を提供しております。
- 来院頻度を減らす
治療開始後、すべてのマウスピース矯正装置をお渡ししております。来院頻度は2~3カ月に一度になります。これは長年の治療経験から患者さんの来院をなるべく減らし、治療のクオリティを損なわないベストな期間と言えます。
- 治療期間をなるべく短くする
治療期間が長くて嬉しい患者さんはいません。治療のクオリティを確保し、なるべく治療期間を短くするよう配慮しております。マウスピース矯正では装置が合わなくなると再スキャンを行い、装置を作り直します。その回数が多いと治療期間は長くなります。(追加アライナーと言います)なるべく作り変えが不要で、かつマウスピースの枚数が少なくできる治療計画を患者さんお一人ずつしっかりと時間をかけ院長が責任を持って作成しております。
また多くのマウスピース矯正が世の中に出回ってきたことで、誤った解釈により、患者さんに不利益が生じている現状もございます。
1.マウスピース矯正では
治療ができない
現在はほぼすべての症例でマウスピース矯正にて治療が可能と言えます。マウスピース矯正で治療ができない=そのクリニックでは治療の熟練度からマウスピース矯正にて治療ができない、という認識で良いと思います。
2.マウスピース矯正では
治療期間が長くなる
当院ではマウスピースの枚数を極力減らし、再作製の回数をなるべく減らすように治療計画を作成しております。ワイヤー矯正での治療期間と同程度、もしくは奥歯のかみ合わせによってはより短期間で治療ができる場合も多いです。
3.治療のクオリティが低い
これは全くの誤りです。診査診断を行い、治療計画を作成するのは担当する歯科医師の責任です。治療の質が良くない=マウスピース(道具)の責任という考えは完全に間違っています。しっかりと咬み合わせを作る為には、最後にワイヤー矯正を併用しないといけないといった認識も誤りです。マウスピース矯正は治療を最後までやり切るのは、とても難しく緻密な治療計画作成が必須なのです。
ブラケット矯正と比較したマウスピース矯正のメリット・デメリット
ブラケット矯正とマウスピース矯正にはどのような違いがあるでしょうか?
それぞれの特徴を表1に示します。
まず、薄く透明なマウスピース矯正装置は、ブラケット矯正装置に比べて目立ちません。矯正治療をしたくても目立つ矯正装置は気が進まず一歩踏み出せなかった患者さんも、マウスピース矯正ならやってみたいと希望さることが多々あります。
また、マウスピース矯正のメリットはなんといっても矯正装置を取り外せることです。これにより、食事や歯磨き、デンタルフロスを通常どおり行えます。
一方、ブラケット矯正では、矯正装置に絡まった食べ物を無理矢理取ろうとして矯正装置を破損してしまうことがあります。さらに、矯正装置の周りを丁寧に磨こうとすると矯正装置をつけていないときの3倍近くの時間がかかるうえ、デンタルフロスの使用には高いスキルを要します。歯磨きやデンタルフロスがしづらいことにより、矯正治療後に大量のう蝕ができていた……なんて経験はありませんか?マウスピース矯正は虫歯予防の観点からも選ばれています。
表❶ ブラケット矯正とマウスピース矯正の比較
|
ブラケット 矯正 |
マウスピース 矯正 |
見た目 |
目立つ |
目立ちにくい |
取り外し |
できない |
できる |
痛み |
強い |
少ない |
費用 |
マウスピース矯正に比べて安価なことが多い |
高額なことが多い |
治療 スピード |
抜歯治療の場合、マウスピース矯正より早いことがある |
非抜歯の場合、ブラケット矯正と同等 |
通院頻度 |
3~4週間ごとの通院が必要 |
通院期間を空けることができる |
自己管理 |
口腔清掃などが重要 |
装着時間の自己管理と紛失に注意することが重要 |
マウスピース矯正はよいことばかりではありません。メリットである矯正装置を取り外せることが、最大のデメリットにもなり得るのです。
当然ですが、マウスピース矯正はアライナーを装着しなければ治療が進みません。たとえば、インビザラインは1日22時間以上の装着が必要です。食後すぐに歯磨きをしてアライナーを装着すれば問題ありませんが、だらだら食いや食べ歩きなどにより装着時間が22時間を下回ると、治療計画どおりに歯が動かず、アライナーが適合しなくなります。その結果、治療期間が長引き、予定どおりに治療が終わらないという事態に陥ります。これを防ぐため、マウスピース矯正ではアライナーの装着時間を守ることが必要となります。
ブラケット矯正の場合、24時間365日、歯に矯正力が加わります。3~4週間ごとの矯正調整は必要ですが、しっかり通院していただければ治療は成功します。
一方、マウスピース矯正は食事と歯磨きのときに矯正装置を取り外します。装着時間を守れば治療は進んでいきますが、装着時間が少ないと計画どおりに治療が進みません。極力装置を外さず、つねに矯正力が歯に加わることを目指したいのです。
理想は24時間装着していただくことですが、食事と歯磨きの時間を考慮して、22時間以上の装着が治療成功の秘訣です。